徹底分析シリーズ カテーテルアブレーションの麻酔
巻頭言
中澤 春政
1
1杏林大学医学部 麻酔科学教室
pp.149
発行日 2022年2月1日
Published Date 2022/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101202177
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- 文献概要
心房細動に対する肺静脈隔離術に代表されるカテーテルアブレーションは,安全性やその効果の点から,現代の不整脈治療には欠かすことができない。多くの場合,長時間の安静が必要で,施術中の痛みに対して鎮痛・鎮静が必要となることから,欧米では麻酔科医が全身麻酔でアブレーション治療を管理するケースが多い。日本でも麻酔科医が管理を行う施設が増えてきてはいるが,いまだその数は少ない。しかし,全身麻酔もしくは深鎮静下で治療を行ったほうが,合併症発症率や不整脈再発率が低くなるという報告も多く,今後はさらに多くの施設で麻酔科医による麻酔・鎮静管理が求められることになるであろう。
カテーテルアブレーションの麻酔・鎮静管理を行うには,手技の流れや合併症を把握しておくのはもちろん,麻酔薬・鎮静薬が心臓の刺激伝導系に対して電気生理学的にどのように影響するかを理解しておかなければならない。さらに,たいていの場合は普段とは異なる環境(場所,スタッフ)での管理を強いられ,麻酔科医にとっては精神的にも負担のかかる治療となる。
そこで今回の徹底分析シリーズでは,カテーテルアブレーションにおける麻酔・鎮静管理で押さえておくべきポイントを,循環器内科医と麻酔科医の双方の立場から複眼的に解説した。また,マンパワー不足などによって,実際に麻酔科医が直接管理を行うのが困難な施設であっても,病院全体の医療安全の観点から麻酔科医がいかにかかわることができるかについても考察した。施設ごとに読者の関与の度合いはさまざまであろうが,今後の診療に役立てていただきたい。
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