徹底分析シリーズ 麻酔科医と外科医
巻頭言
中澤 春政
1
1杏林大学医学部 麻酔科学教室
pp.749
発行日 2024年8月1日
Published Date 2024/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101202998
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- 文献概要
手術室で働く麻酔科医が,職場で最も長い時間をともにするのは外科医である。ここでの外科医とは,手術を行うすべての診療科の執刀医を意味する。その外科医にとっても麻酔科医は,「手術」という重要な仕事を共有する相棒だろう。安全に手術を完遂させるという共通の目標に向かっているはずの麻酔科医と外科医であるが,常に同じ方向を向いて働いているといえるだろうか?
実際,麻酔管理室では予定時間を超過した外科医への不満や大量出血時の対応への愚痴を耳にすることも多い。外科医側からも,麻酔管理への疑問の声や手術中の麻酔科医の態度への不満を耳にすることがある。本来,同じベクトルで患者の治療に当たるはずの麻酔科医と外科医の間で,なぜこのような不信感が生まれるのだろうか?
その背景には,麻酔科医と外科医の間にある否定的な固定観念や互いの業務への理解不足,また手術室運営における立場の違いなどさまざまな要因が存在している。これらの問題をすぐに解決することは容易ではないが,少なくとも互いが互いを理解しようすることが第一歩である。
本徹底分析シリーズでは,麻酔科医と外科医の理想的な関係についてさまざまな角度から改めて考えてみたい。
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