徹底分析シリーズ 区域麻酔のControversies
巻頭言
高崎 眞弓
1
1宮崎大学医学部附属病院
pp.195
発行日 2009年3月1日
Published Date 2009/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101100599
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- 文献概要
脊髄くも膜下麻酔,硬膜外麻酔は,戦前から使われてきた。西邑信男氏が『硬膜外麻酔』(克誠堂出版)を出版したのは1973年である。その後,脊髄くも膜下麻酔と硬膜外麻酔とを併用する脊硬麻が普及し,区域麻酔もにぎやかになった。このようななかで硬膜外麻酔が爆発的に普及したのは,この麻酔が昭和天皇の手術に利用されたことと,セボフルランの登場によって術後鎮痛に利用されるようになったためである。
しかし,全身麻酔も,短時間作用性のオピオイド鎮痛薬やβ1選択的遮断薬などの登場によって改良されたので,区域麻酔に絶対的な優位性はなくなった。それでもなお,区域麻酔と全身麻酔との併用麻酔が全身麻酔単独より少しよさそうだ,と考える麻酔科医は多い。それに,麻酔科医は技能を必要とする区域麻酔が好きだ。
爆発的に普及した区域麻酔であるが,何となく峠にさしかかった感じがするが,どうであろう。ただ,区域麻酔が完成品になったわけではない。まだ,未完成である。意見の分かれるところも多い。本徹底分析シリーズでは,硬膜外麻酔と脊硬麻の論争点を重点的に取り上げた。かかわりの深い先生方から含蓄に富む文章をいただいた。味わっていただきたい。
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