症例検討 高齢者の大腿骨頸部・転子部骨折
巻頭言
志賀 俊哉
1
1東邦大学医療センター大橋病院 麻酔科
pp.41
発行日 2009年1月1日
Published Date 2009/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101100567
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- 文献概要
前号の徹底分析に引き続き,今回は高齢者の大腿骨頸部・転子部骨折の症例検討である。
大腿骨頸部・転子部骨折の麻酔の第一歩といえば,腰椎穿刺がうまくいくかどうかであろう。高齢者は腰椎の変形も著しく,痛みのため体位も思うように取れないことが多い。このように難しい脊髄くも膜下麻酔を一発で決めると,周囲から感嘆の声がもれたりして気分がよい。「もうこれで,今日の仕事は終わったも同然!」と考えがちであるが,実は“真の麻酔”はここから始まる。いや,術前評価から疼痛管理を含めた術後までが真の麻酔であることが,本症例検討を読めばおわかりになろう。
前号では,高齢者は大抵いくつかのcomorbiditiesを持っていると述べた。本号の症例検討では,同じ高齢者の大腿骨頸部・転子部骨折でも,中枢神経系,呼吸器系,循環器系,腎臓系,内分泌系に広くまたがってcomorbiditiesのある患者の麻酔のジレンマに迫る。加えて,インフォームドコンセントについての考え方や,予期せぬイベントに対するエキスパートの先生方の対処法も述べていただくので,整形外科の麻酔にとどまらない広い知識が得られるものと期待している。
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