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Anesthesiology
Editorial:
Faraoni D, Welsby IJ. A step toward combined platelet and erythrocyte recovery. Anesthesiology 2021;135:200-2.
Article:
Mansour A, Decouture B, Roussel M, et al. Combined platelet and erythrocyte salvage:evaluation of a new filtration-based autotransfusion device. Anesthesiology 2021;135:246-57.
■大量出血時の血小板濃厚液の位置づけ
血小板濃厚液は赤血球液や新鮮凍結血漿と異なり,その有効期限は採血後4日間と短い。しかも,その供給は原則予約制であり,大量出血などにより血小板数が少なくなっても,すぐに入手できないことがある。
厚生労働省の「血液製剤の使用指針」でも,大量出血時には,赤血球輸血に加え,すみやかに新鮮凍結血漿および血小板濃厚液を投与することが推奨されている。さらに,各血液製剤の投与単位の比が「新鮮凍結血漿:血小板濃厚液:赤血球液=1:1:1」となることが望ましいとされている。日本輸血・細胞治療学会の「科学的根拠に基づいた血小板製剤の使用ガイドライン」では,活動性出血を認める場合に血小板数は5万/μL以上に維持すべきであるが,外傷性頭蓋内出血の場合は10万/μL以上に維持すべきであるとされている。「大量出血症例に対する血液製剤の適正な使用のガイドライン(2019年改訂版)」(日輸血細胞治療会誌2019;65:21-92)では,「少なくとも新鮮凍結血漿:血小板濃縮製剤:赤血球投与比≧1:1:2を維持できるように新鮮凍結血漿,血小板濃縮製剤を投与することを強く推奨」している。
こうした状況の中で,いかに十分な機能をもつ血小板の数を維持するかが問題となる。iPS細胞由来の血小板の利用は,ようやく臨床応用が検討される段階である。凍結乾燥させたヒト血小板由来産物と生体適合性に優れたアルブミンなどの微粒子表面にヒトフィブリノゲンもしくはそのペプチドを結合させた人工血小板も,まだ研究段階である。
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