連載
THE Editorials
pp.1016-1019
発行日 2018年9月1日
Published Date 2018/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101201216
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The New England Journal of Medicine
Editorial:
Brandstrup B. Finding the right balance. N Engl J Med 2018;378:2335-6.
Article:
Myles PS, Bellomo R, Corcoran T, et al. Restrictive versus liberal fluid therapy for major abdominal surgery. N Engl J Med 2018;378:2263-74.
■腹部手術での輸液療法に対する考え方の変化
腹部手術では「サードスペース」への体液喪失を補うために,以前は大量の細胞外液系輸液剤を投与することが一般的であった。しかし,2003年にEditorialの著者であるBrandstrupらにより,大量輸液によって周術期合併症が増加すること,輸液バランスをほとんどゼロバランスとすることで合併症発生率が低下することが報告された(Ann Surg 2003;238:641-8)。その後,従来の非制限的輸液療法liberal fluid strategyと,制限的輸液療法restrictive fluid strategyを比較した研究が多くなされ,輸液過剰の有害性が示されてきた。
日本でも,中分子量のヒドロキシエチルデンプン(HES)が市販され,HESを用いることで輸液量を制限することが広く行われるようになってきた。しかし,輸液量が過剰でも不足しても腎障害が起こることが懸念されている。
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