徹底分析シリーズ 麻酔における臓器障害への対策 ②—研究から学ぶ臓器保護
輸液による臓器保護—その輸液,グリコカリックスを痛めていませんか?
森松 博史
1
Hiroshi MORIMATSU
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1岡山大学大学院医歯薬学総合研究科 麻酔・蘇生学講座
pp.778-782
発行日 2022年8月1日
Published Date 2022/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101202311
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麻酔科医にとって輸液は毎日行う多くの介入の一つである。しかしながら輸液に関する絶対的なプロトコルは存在しない。輸液療法自体は1600年代に発見され,1800年代にはコレラの治療に用いられ,1900年代からは下痢や脱水への一般的な治療として普及したとされている1)。200年ほど前から始まった治療であるにもかかわらず,いまだにさまざまなディベートがあり,個人の好みに大きく左右される治療であるのは驚きである。逆に輸液管理とは一概にすべての患者に適応できるものではなく,その診断や病態に応じて決断されていくものであるとも言える。
本稿では,特に近年の麻酔・急性期領域における輸液に関する話題を解説していく。
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