Japanese
English
特集 新組織学シリーズⅤ:脂肪
Ⅲ.脂肪組織由来ホルモン
アディポネクチンによる臓器保護作用
Organ protective roles of adiponectin
長尾 博文
1,2
,
西澤 均
1,2
,
下村 伊一郎
1
Nagao Hirofumi
1,2
,
Nishizawa Hitoshi
1,2
,
Shimomura Iichiro
1
1大阪大学大学院医学系研究科内分泌・代謝内科学
2大阪大学大学院医学系研究科代謝血管学寄附講座
キーワード:
エクソソーム
,
アディポネクチン
,
T-カドヘリン
,
肥満
,
心血管疾患
Keyword:
エクソソーム
,
アディポネクチン
,
T-カドヘリン
,
肥満
,
心血管疾患
pp.579-582
発行日 2024年12月15日
Published Date 2024/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425201979
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
- 参考文献 Reference
脂肪組織は,アディポサイトカインと呼ばれる様々な生理活性物質を産生・分泌する内分泌臓器であることが明らかになっている。肥満・内臓脂肪蓄積状態では,tumor necrosis factor-α(TNF-α)1)やplasminogen activator inhibitor-1(PAI-1)2)といった脂肪細胞由来の炎症性,血栓性生理活性物質の産生が増加し,脂肪組織の炎症,インスリン抵抗性や血栓形成へとつながる。一方で,脂肪細胞特異的分泌因子であるアディポネクチンは,抗動脈硬化作用をはじめ,インスリン感受性増強作用や抗炎症作用など,多彩な臓器保護作用を有しているが,肥満・内臓脂肪蓄積に伴い血中濃度が低下する3,4)。最近筆者らは,膜タンパク質であるT-カドヘリンがアディポネクチンと高親和性に結合し,種々の細胞でエクソソーム産生・分泌を増加させ,様々な臓器保護作用に結びついていることを明らかにした(図)。本稿では,アディポネクチンおよびその結合パートナーであるT-カドヘリンを介した作用機構について,筆者らの教室での研究も含め最新の知見を紹介する。
Copyright © 2024, THE ICHIRO KANEHARA FOUNDATION. All rights reserved.