今月の主題 輸液・栄養療法
輸液の進歩:電解質輸液から栄養輸液へ
越川 昭三
1
1昭和大学藤が丘病院・内科
pp.2750-2751
発行日 1988年12月10日
Published Date 1988/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402222218
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今,血管内に大量の液を流し込むことに対して,抵抗感を持つ医師はいない.しかし,半世紀前の医師にとって,それは重大なことであった.だから,入れる液の電解質組成を血清のそれにできるだけ近づけようと一所懸命努力した.乳酸リンゲル液がその所産である.疾患治療のためには,血清と同じ電解質組成では駄目だと気づいたのは小児科医である.1940年代は,輸液における小児科医達の冒険の時代であった.血清よりも低浸透圧の液や高K濃度の液を血管の中に入れることを試みて,それが危険どころか,きわめて有効なことを証明した.
しかしながら,それが一般に受け入れられるには10年を要した.1950年代に入ると,今度はやたらに電解質組成の異なる多種多様な液が作られるようになり,どれを選択していいのかわからないような混迷の時期が出現した.1950年代末になり,それらが次第に整理されて,Solitaなど数種の液に単純化された.
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