今月の主題 水と電解質
電解質異常と治療法の相互関係
輸液
高橋 文夫
1
,
詫摩 武英
1
,
杉野 信博
1
Fumio Takahashi
1
,
Takehide Takuma
1
,
Nobuhiro Sugino
1
1東京女子医科大学・腎臓病総合医療センター内科
pp.754-756
発行日 1983年5月10日
Published Date 1983/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402218269
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電解質異常を輸液で治療する場合,注意すべき点がいくつかある.第1に血液生化学検査値は電解質濃度を表しているにすぎず,体内総量の増減を知るためには,病歴,臨床症状の把握(体液過剰か欠乏か)が不可欠であるということ.第2に欠乏量を補う場合,一気に全量を補充せず,1/2〜1/3ずつ臨床症状,臨床検査値をチェックしながら補正すること.第3に電解質異常は医原性のものがしばしばあり,現在の輸液,投薬を再度チェックする必要があること.さらに第4に輸液療法はあくまでも対症療法であって,原疾患の検索も忘れてはならないということ,である.図は,意識障害と低Na血症のため緊急入院した症例で,連日生理食塩液を輸液し意識は回復したが,輸液のみではけっして血清Naは正常化せず,結局hydrocortisoneを投与してはじめて血清Naが正常化した症例(診断:ACTH単独欠損症)である1).
本稿では誌数の関係上,最も多くみられるNa,Kの異常を主として述べる.
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