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Anesthesiology
Editorial:
Colquhoun DA, Hallstrom BR, Kheterpal S. Tranexamic acid in high-risk arthroplasty patients:How will we adapt to evolving evidence? Anesthesiology 2021;135:12-4.
Article:
Poeran J, Chan JJ, Zubizarreta N, et al. Safety of tranexamic acid in hip and knee arthroplasty in high-risk patients. Anesthesiology 2021;135:57-68.
■日本人が開発したトラネキサム酸
心臓再手術など出血量の多い手術において,プロテアーゼ阻害薬であるアプロチニンが出血量を減少させることが示され,1980年代後半から広く使用されるようになった。しかし,2006年になるとアプロチニン使用による腎障害の発生や,心筋梗塞,脳卒中の発生率上昇,死亡率上昇などの副作用が報告され,アプロチニンは使用されなくなった。それに代わって注目されたのが,トラネキサム酸である。
トラネキサム酸は,岡本彰祐・歌子夫妻によって開発された抗線溶薬であり,1965年に市販され始めた。トラネキサム酸は,外傷による出血例(CRASH-2研究)のほか,産科出血(「産科危機的出血への対応指針2017」),心臓手術や整形外科手術などでも広く使われるようになった。しかし,「トランサミン注5%,注10%」の添付文書にあるように,血栓を安定化する恐れがあるため,脳血栓,心筋梗塞,血栓性静脈炎など,血栓のある患者では慎重に投与することとなっている。しかし,実際にはトラネキサム酸の使用は広く行われるようになってきた。
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