徹底分析シリーズ 硬膜外さいこう
硬膜外は胸部手術後の最高の術後鎮痛法である—すべての麻酔科医が身につけるべき技術
萩平 哲
1
Satoshi HAGIHIRA
1
1関西医科大学 麻酔科学講座
pp.798-801
発行日 2021年8月1日
Published Date 2021/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101202048
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胸部手術の変遷
筆者が研修医であった三十数年前の呼吸器外科手術の基本は後側方切開による開胸手術であった。多くの場合,第5肋間開胸で肋骨を1本切って大きな視野で手術を行っていた。背側では脊柱のすぐ近傍まで切開していたため,硬膜外カテーテル挿入は手術の対側からの傍正中アプローチもしくは正中アプローチで行う必要があった。正中もしくはそれに近い刺入点を選択した場合には,カテーテルを固定するためのテープが術野に掛からないようにしなければならなかった。
筆者は1998年から5年間,呼吸器の専門病院である大阪府立羽曳野病院(現 大阪はびきの医療センター)で呼吸器外科麻酔に従事していた。赴任してしばらくは後側方切開が主流であったが,途中から前側方切開となり,切開創の大きさも半減した。さらにvideo-assisted thoracoscopic surgery(VATS)が普及し,現在では肺癌手術ではVATSが標準となっている。これに伴って,周術期の鎮痛法も変わってきた。しかしながら,今も昔も,最も有効な鎮痛法は硬膜外鎮痛であることは変わらない。
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