—麻酔メカニズム研究シリーズ⑦—物理化学的特性から迫る麻酔作用

はじめに

古い話になるが1979年に，ユタ大学医学部麻酔科の上田一作先生からユタ大学に来て研究しないかという手紙を受け取った。麻酔とは何かわからないが，米国に行けるならと行かせてもらうことになった。上田先生はユタ大学や米国国立衛生研究所（NIH）などの予算を取って日本人の研究者を期限付きで雇って，研究室を運営しておられるというユニークな麻酔科の教授であった。私はその頃，生体膜に興味があって論文を書いていたが，その一つに興味をもって声をかけてくれたらしい。