徹底分析シリーズ —一時総括—COVID-19時代の麻酔
COVID-19時代の麻酔科医とは—基本に立ち返り,このパンデミックを乗り越えたい
末盛 泰彦
1
Yasuhiko SUEMORI
1
1福岡リハビリテーション病院 麻酔科
pp.182-185
発行日 2021年2月1日
Published Date 2021/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101201904
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2020年のパンデミック,その概要
2020年,われわれはパンデミックを経験した。同年1月にSARS-CoV-2の日本国内初の感染例を確認後,全国規模での急激な感染拡大に繰り返し見舞われている。これに対し,ウイルス学や感染症学のほか,公衆衛生学や数理学など,広い学際領域による集学的アプローチが行われた。その結果,ウイルス学的性状や遺伝子学情報,感染経路などが解明されてきた。一方で,長引く後遺症の実態や免疫の獲得状況についてはいまだ不明な点が多い1)。
厚生労働省が提唱する「新しい生活様式」をもとに社会の変容を余儀なくされ,その影響は政治・経済・文化など広範囲かつ甚大なものとなっている。当初の制御戦略として感染クラスターの早期捕捉と隔離,濃厚接触者の追跡が行われてきたが,感染拡大期の効果的なノウハウはいまだ確立していない。2020年末までに国内の感染者はおよそ15万人を数えたが,欧州などとの比較においては,その数は少なく抑えられている。
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