徹底分析シリーズ 麻酔科医の薬物依存
誰に相談したらよいのか—救いの道は,ある
松本 俊彦
1
Toshihiko MASTUMOTO
1
1国立精神・神経医療研究センター 精神保健研究所薬物依存研究部
pp.432-437
発行日 2020年4月1日
Published Date 2020/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101201647
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はじめに
あなたは今,ひそかに薬物問題に悩んでいて,漠然と「このままではマズい」と感じている。しかし他方で,うまくコントロールできている点を無理に探し出して安心しようとしたり,問題を職場環境のせいにして,「次年度異動すれば状況はよくなる」と自分に信じ込ませようともしている。日々,気持ちはこの両極をあたかもヤジロベエのように揺れ動きつつ,「これが最後の1回」と自分にいいきかせるのを,もう何回,何十回も繰り返してきたことだろう。いや,ちがう。もしかするとあなたは自己嫌悪のあまり自暴自棄になり,すでに「いざとなったら死んでしまえばよいのだ」と背水の陣を敷いているのかもしれない。
私は今,この文章を,現在進行形で薬物問題に悩む麻酔科医に向けて書いている。
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