隨筆
救いの手
島村 喜久治
pp.9-13
発行日 1951年11月10日
Published Date 1951/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662200170
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
ものを書くと,よまれる。よまれるために書いているのだから,これはあたりまえの話であるが,私の書くものは,結核に關するものばかりだから,よむ人は結核患者が多い。結核患者は,苦痛が少くて,長い時間ねているから,よんだものを明析に批判して,その批判を手紙に書いてくる。そういう手紙が,私の机の上に,毎日,全國からよせられてくる。
手紙の中で一番多いのは,何といつても自分の病氣の相談である。私の書いたものの批判を通して,病氣の相談をしてくるのである。フアン・レターではない,切々たる相談である。
Copyright © 1951, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.