徹底分析シリーズ 麻酔科医の薬物依存
医師・歯科医師に対する行政処分と再教育研修—薬物不正使用に厳しい理由
長谷川 剛
1
Tsuyoshi HASEGAWA
1
1上尾中央総合病院
pp.428-431
発行日 2020年4月1日
Published Date 2020/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101201646
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医師・歯科医師は大学を卒業後,国家試験を受験し合格すれば厚生労働大臣から免許を受け取る。日本ではその免許は一生有効である。周知のように,医師免許や歯科医師免許は非常に広い裁量を有しており,診療能力の低い医師や倫理観に乏しい医師は患者となった国民に害を及ぼす可能性がある。このことはプロフェッショナルとして一生自己研鑽に努める責務が医師や歯科医師にある所以でもある。
残念ながら,犯罪や不適切な行為を行い刑事処分を受ける者もいるし,診療報酬の不正請求などが発覚して処分対象となる者もいる。医師・歯科医師免許を与える厚生労働省からの責任追及は医道審議会の決定をもとに行政処分というかたちで発動される。行政処分決定の流れを図1に示す。かつて行政処分は医師免許の剝奪や一定期間の免許停止であった。しかし2007年から行政処分を受けた医師は,再教育研修を受けることとなった。筆者はその再教育プログラム評価委員を務めており,この困難な研修に長年かかわっている。
本稿では,薬物に関する理由で行政処分を受ける医師が一定数存在することに鑑みて,薬物の不適切な使用による行政処分例を念頭に,行政処分の実態とその対処方法について述べる。
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