徹底分析シリーズ 筋弛緩モニタリング リターンズ!
巻頭言
高木 俊一
1
1日本大学医学部 麻酔科学系麻酔科学分野
pp.443
発行日 2019年5月1日
Published Date 2019/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101201376
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- 文献概要
折よく,日本麻酔科学会「安全な麻酔のためのモニター指針」が改訂(第4回)された(2019年3月)。注目すべき点は,筋弛緩モニタリングに関する項目のみが変更になったことである。欧米のガイドラインに先行する踏み込んだ画期的な判断である。具体的には「筋弛緩モニターは必要に応じて行うこと」から,「筋弛緩薬および拮抗薬を使用する際には,筋弛緩状態をモニタリングすること」に変更された。
この文言は,今回の改訂に携わった委員らが熟考した結果である。筋弛緩モニターは,まだまだ普及率が低く,常備している筋弛緩モニターの種類によっては母指のみにしか使用できないなど,すべての症例への使用を義務付けることが難しい。そのため「筋弛緩モニターを使用して筋弛緩状態をモニタリングすること」とはしなかったと推察される。
筋弛緩状態をモニタリングすることには,握力テスト,挙上テスト,舌圧子テストなど,臨床的評価も含まれる。しかし,臨床的評価が回復の指標にならないことは周知の事実であるから,安全性や訴訟の可能性などを考慮すると,筋弛緩モニターを使用して客観的評価を記録として残すことが求められる。
本徹底分析では,筋弛緩モニターの歴史に始まり,神経刺激の原理,刺激による反応をとらえる各種トランスデューサの特徴と具体的機器の使い方,これから日本に導入される機器の情報までを網羅した。この特集が,筋弛緩モニタリングを再考する機会となり,さらなる普及の後押しになれば幸いである。
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