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Anesthesia & Analgesia
Editorial:
Egan TD, Svensen CH. Multimodal general anesthesia:a principled approach to producing the drug-induced, reversible coma of anesthesia. Anesth Analg 2018;127:1104-6.
Article:
Brown EN, Pavone KJ, Naranjo M. Multimodal general anesthesia:theory and practice. Anesth Analg 2018;127:1246-58.
■バランス麻酔からmultimodal general anesthesiaへ
私が1980年代に麻酔科研修医であった頃は,ハロタンと亜酸化窒素を用いたGOF(Gはガス,Oは酸素,Fはハロタンの商品名フローセン)麻酔か,フェンタニルと比較的大量のドロペリドールを用いたニューロレプト麻酔neuroleptic anesthesia(NLA)であった。GOFの場合には,オピオイドを使用しないのが日本では一般的であった。その後,麻酔薬と鎮痛薬,筋弛緩薬を,鎮静・健忘,鎮痛,不動の目的で使用するというバランス麻酔という概念が登場し,広く実施されるようになってきた。
鎮痛は全身麻酔の基本的要素と考えられるが,痛みは,刺激が加わったときに不快に感じるという感覚であり,全身麻酔中には存在しないと考えられる。術中に患者が動いたりすると,外科医は「患者が痛がっている」と言うことがあるが,外科刺激などの侵害刺激に対する逃避反射による体動と解釈するのがより正しい。高血圧や頻脈が起こると「浅麻酔では?」と言うが,これもまた侵害刺激に対する自律神経系反応というほうがより正しいであろう。Brownらの提唱するmultimodal general anesthesiaでも,全身麻酔中の「痛み」と「侵害刺激に対する反応」は分けて考えられ,術後鎮痛については別に扱われている。
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