徹底分析シリーズ 閉塞性睡眠時無呼吸
巻頭言
髙田 真二
1
1帝京大学医学部 麻酔科学講座・医学教育センター
pp.1037
発行日 2017年11月1日
Published Date 2017/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101200984
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- 文献概要
閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)は麻酔科医に多くの難題を投げかけます。difficult airwayの原因となりやすいだけでなく,麻薬や鎮静薬への感受性亢進のため術後にも気道・呼吸器合併症をきたしやすく,したがって麻薬を主体とした術後鎮痛法にも制限が加わります。周術期管理において「一難去ってまた一難」の疾患です。
OSAは心不全,脳血管障害,突然死などのリスク因子であることも明らかにされ,近年は内科領域でも本疾患への関心が高まっています。周術期リスクを高める全身疾患であるOSAの罹患率は低くはありません。にもかかわらず,他の全身疾患と比べて術前に適切な管理がなされておらず,高リスクを維持したまま手術に臨む患者が少なくありません。周術期管理の要たる麻酔科医には,OSAへの「感度」を十分に高めることが求められます。
本徹底分析シリーズでは,全身疾患としてのOSAの病態生理を土台とし,OSA患者の周術期管理に豊富な臨床経験を有する方に解説をお願いしました。現時点での日本の標準となり得る内容を提示できたと考えます。
全身麻酔の維持管理中に舟を漕いでいるあの人は,夜,呼吸ができていないのかもしれません。ポリソムノグラフィーを受けるよう勧めてみては?
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