徹底分析シリーズ 薬が承認されるまで
「人を対象とする医学系研究に関する倫理指針」と臨床現場での対応—臨床研究の質と透明性確保のための歩み
岸 暁子
1
Svensson-Kishi, Akiko
1
1東京大学医学部附属病院 臨床研究支援センター
pp.532-536
発行日 2016年6月1日
Published Date 2016/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101200584
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「臨床研究に関する倫理指針」と「疫学研究に関する倫理指針」が統合され,「人を対象とする医学系研究に関する倫理指針(以下,新倫理指針)」1)が2015年4月に施行(モニタリング・監査に関しては10月施行)された。これで,臨床研究に関する指針が一つにまとまったことになる。背景には,N社の降圧薬の臨床試験など,臨床研究の信頼性を損なう不適正事案が生じたことがある。この大々的な改定により,責任の所在の明確化や教育・研修の必修化,臨床研究の質と透明性の確保の重要性がこれまで以上に強化され,また具体化され明記された。人を対象にした研究を行う際は,責務と決まりごとが必要であり,それは研究者としての倫理・行動規範を超えた研究実施のための知識が求められるものである。
本稿は,新倫理指針の策定の経緯と,臨床研究実施においてこれから知らなければならないことについてまとめる。
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