徹底分析シリーズ 薬が承認されるまで
治験や臨床試験に関与することの意義—これまで参加した治験の経験から
中塚 秀輝
1
Hideki NAKATSUKA
1
1川崎医科大学 麻酔・集中治療医学1教室
pp.538-541
発行日 2016年6月1日
Published Date 2016/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101200585
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本稿の執筆依頼を受けてよいか非常に迷った。私より精力的に数多くの治験に携わり,また治験責任医師として活躍されてきた方も多いはずである。その中で私が書くことにどれだけの説得力があるか疑問であるし,さらに最近は,私自身が治験に参加していない。しかし逆に,年月も経ていることから,勘違いも許していただきやすいかもしれないと考えて,お受けすることにした。実際,数分前のことも怪しい最近の記憶力では,最も近いところでも10年以上前の治験の記憶がどこまで正しいのか自信がない。さらに,治験をとりまく状況にも当時と現在とでは変化があると思われる。その辺の事情も理解して,気軽に読んでいただきたい。
私は新しい物好きで,新しい薬剤や機器にはすぐ飛びつく質であり,治験に参加することで新しい薬に早く触れられること,それ自体が非常な喜びであった。しかし,そのような野次馬的興味だけではなく,治験に参加することで得られる関係者への教育的意義,および施設の安全性や技術の質向上への意識向上,そして経済面に対する貢献も大きいと感じている。
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