特別記事
─【研究対象者に対する研究倫理を考える④】─研究対象者の立場に立った研究倫理教育の検討
河原 智江
1
,
西村 ユミ
2
,
久保 恭子
3
1共立女子大学看護学部
2首都大学東京大学院人間健康科学研究科
3東京医療保健大学東が丘・立川看護学部
キーワード:
研究対象者
,
研究倫理
,
研究倫理教育
,
研究者
Keyword:
研究対象者
,
研究倫理
,
研究倫理教育
,
研究者
pp.598-603
発行日 2016年12月15日
Published Date 2016/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1681201324
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研究者に求められる「研究対象者の立場に立った倫理的判断」を培うために必要な教育プログラムとは何か?
本稿の第2回(49巻5号)において,研究対象者に対する研究倫理に関して,研究ガイドライン「6つの倫理原則」から検討した結果からは,「研究倫理」と「倫理的配慮」がつながっていないことがみえてきた(河原,西村,久保,2016)。また,現行の看護教育において,研究倫理に関する教育は,おそらく,看護研究にかかわる講義の中で教授されていることが多いと考えられるが,その内容と教授時間には,相違があるのが現状だろう註1。そして,残念ながら,筆者らが,これまで述べてきた「研究対象者の立場に立った研究倫理」という観点での教育が行なわれているとは言い難いと思われる。
諸外国に目を向けると,Doctor of Nursing Practice(DNP)においては,倫理教育カリキュラムの枠組みは,生命倫理(Traditional Biomedical Ethics)のみでなく,研究倫理(Research Ethics),経営倫理(Business Ethics)および法的倫理(Legal Influence on Professional Ethics)として整理されている(Peirce & Smith, 2008)。倫理に関する〈知識〉の幅や内容は多岐にわたり,学士課程において修得すべきレベル,修士課程において修得すべきレベル,博士課程において修得すべきレベルというものもあるだろうが,わが国においても,研究倫理も含めた倫理教育の体系化が必須と考える。
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