症例検討 麻酔手技に伴う合併症とその対処
肺動脈カテーテルによる肺動脈穿破—対応時も説明時もあわてないで
石川 晴士
1
Seiji ISHIKAWA
1
1東京医科歯科大学医学部附属病院 麻酔・蘇生・ペインクリニック科
pp.122-126
発行日 2016年2月1日
Published Date 2016/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101200495
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症例
62歳の女性。身長146cm,体重38kg。僧帽弁閉鎖不全症に対して僧帽弁形成術が予定された。全身麻酔導入後に右内頸静脈から肺動脈カテーテルを挿入したところ,47cmで肺動脈楔入圧波形が得られた。人工心肺のカニュレーション前に肺動脈カテーテルを2cm浅くし,最終的に45cmで固定した。僧帽弁形成が終了し,自己心拍の再開とともに人工換気を開始した。この時点で肺動脈カテーテル先端圧は,カテーテル先端のバルーンが虚脱しているにもかかわらず肺動脈楔入圧波形を示していた。また,陽圧換気の呼気に合わせて気管チューブ内から大量の血液があふれ出てくるのが観察された。
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