症例検討 麻酔手技に伴う合併症とその対処
麻酔覚醒時に患者が大暴れして歯が抜けてしまった—グラつきがなくても,出っ歯は危険!
辻本 芳孝
1
,
金 徹
1
Yoshitaka TSUJIMOTO
1
,
Chol KIM
1
1日本医科大学千葉北総病院 麻酔科
pp.128-131
発行日 2016年2月1日
Published Date 2016/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101200496
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症例
74歳の男性。身長158cm,体重52kg。急性虫垂炎に対して緊急で全身麻酔下に腹腔鏡下虫垂切除術が予定された。術前評価では開口が3横指で頸部可動域に制限はなかった。上の門歯2本が動揺はしていないものの,前方に突出しており(いわゆる「出っ歯」),歯肉が後退し,歯根部が一部露出していた。気管挿管は問題なく行われたが,手術終了後,麻酔覚醒時に患者がはげしく暴れ,バイトブロックを強く噛んだ結果,右上の門歯が前方に押し出されるような形で根元から抜けてしまった。
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