症例検討 麻酔手技に伴う合併症とその対処
巻頭言
石川 晴士
1
1東京医科歯科大学医学部附属病院 麻酔・蘇生・ペインクリニック科
pp.113
発行日 2016年2月1日
Published Date 2016/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101200492
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- 文献概要
治療であれ検査であれ,あらゆる診療行為は患者の状態を改善することを目的としていますが,意図に反して状態を改善するどころか,まれに重篤な有害事象(=合併症)を引き起こすことさえあります。周術期では術後出血,感染,縫合不全などが,生命を脅かしかねない合併症の典型例として挙げられますが,われわれ麻酔科医が日常的に行う手技も決して合併症とは無縁ではありません。気管挿管や区域麻酔などに伴って,まれなものから比較的よく見られるものまで,さまざまな合併症が起こり得ることについては,2015年11月号の本誌徹底分析で見てきた通りです。
そこで今回は,周術期の患者に有害事象が発生した場面を想定して,何が原因でどのような事態が発生したのかをいかにして明らかにするのか,状況をさらに悪化させないためにはどうすべきなのか,患者や家族にはどのように説明したらよいのかなど,麻酔手技に伴う合併症の対処法を取り上げます。読者には,自分の症例で同様のことが起こったらどうするのか,当事者になったつもりで考えながら読み進めてください。この「仮想的な合併症への対処」が現実の合併症の対処に少しでも役立てば,企画者としてこれに優る喜びはありません。
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