症例検討 薬をめぐるトラブル<前編>
薬の配合変化・化学反応—配合変化を回避するための基礎知識と薬剤師の役割
長谷川 哲也
1
,
落合 亮一
2
,
西澤 健司
1
Tetsuya HASEGAWA
1
,
Ryoichi OCHIAI
2
,
Kenji NISHIZAWA
1
1東邦大学医療センター大森病院 薬剤部
2東邦大学医療センター大森病院 麻酔科
pp.104-108
発行日 2016年2月1日
Published Date 2016/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101200490
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複数の注射薬を同時に使用すると,配合変化(化学反応)を起こすことがある。薬剤師には,医薬品の管理だけではなく,医薬品の安全な使用,質の高い薬物療法の提案(処方提案)を行うことが求められており,医薬品によるトラブルを回避するためには,積極的な介入を行う必要がある。すなわち,医師の処方を確認し,配合変化を回避するための提案をすることは,薬剤師の重要な役割である。しかし,手術室では,処方箋が発行されることはまれで,事前に薬剤師が処方をチェックし調剤するシステムがほとんど機能していないため,特に配合変化によるトラブルが起こりやすい環境と考えられる。手術室で使用される医薬品は,麻薬,筋弛緩薬,向精神薬など,特に厳重な管理を必要とするものが多い。そのため,薬剤師が手術室に常駐し,医薬品の管理を行う施設が増えてきた1)。
本稿では,薬剤師の視点から,実際に起こり得る配合変化を予測するコツとその回避方法について述べる。
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