症例検討 困難な呼吸器手術を克服しよう
巻頭言
石川 晴士
1
1東京医科歯科大学医学部附属病院 麻酔・蘇生・ペインクリニック科
pp.681
発行日 2014年7月1日
Published Date 2014/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101102172
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- 文献概要
呼吸器手術の麻酔管理を困難にさせる要因の一つに,呼吸器手術に伴う特有の病態の存在が挙げられる。今回はそのなかから,比較的よく臨床で遭遇するものとして,気道狭窄を伴う縦隔腫瘍,巨大ブラ,特発性肺線維症,肺切除後の対側肺切除を取り上げ,呼吸器手術の麻酔管理のエキスパートに解説をお願いした。 縦隔腫瘍と巨大ブラについては,まず一側肺換気の可否から論じていただいた。より手術のしやすい環境(術野)を求めて一側肺換気を要望する外科医に対して,麻酔科医が一側肺換気の可否を判断する拠り所が,それぞれの症例に多数示されているので,大いに読者の参考になるだろう。特発性肺線維症合併症例の麻酔管理では,術前から酸素化能が低下している一方で,高濃度酸素の投与が制限される点,さらにひとたび急性増悪が起これば致死的になり得るといった点が麻酔科医を悩ませる。周術期管理のエビデンスが十分ではないなかで,最善と思われる管理方法を提示していただいた。肺切除後の対側肺切除は,あえて二つの呼吸管理の方法をとりあげた。何が困難かの認識は同じでも,それぞれのエキスパートで困難へのアプローチ方法が異なる点に注目されたい。本症例検討を参考に患者評価の結果はもちろんのこと,麻酔科医や執刀医の経験や技量,病院や手術室の設備など,読者それぞれの環境に応じて困難に立ち向かっていただきたい。
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