徹底分析シリーズ 麻酔手技に伴う合併症とインフォームドコンセント
巻頭言
石川 晴士
1
1東京医科歯科大学医学部附属病院 麻酔・蘇生・ペインクリニック科
pp.1087
発行日 2015年11月1日
Published Date 2015/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101200419
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- 文献概要
インターネットでソフトウェアをダウンロードする際,小さい窓の中に細かい字でびっしり埋められた文書をスクロールしながら読んで同意を求められることがあります。丹念に読む人もいるかもしれませんが,読み飛ばして「とりあえず同意」する人も多いのではないでしょうか。「逆コンパイルしないこと」などと書かれていても,専門家でもないかぎり,何のことだかさっぱりわからないですから。
インフォームドコンセントを得る際の患者への説明も,ひょっとしたら同じようになっているかもしれません。「硬膜下血腫」「仮性動脈瘤」「馬尾症候群」などなど…麻酔科医にとっては日常用語であっても,患者にとっては「逆コンパイル」と同じぐらい理解が難しい可能性があります。
今回の徹底分析シリーズでは,麻酔科医にとって起こってほしくはないが無縁ではいられない「麻酔手技に伴う合併症」がテーマです。合併症はインフォームドコンセントを得る際に十分説明しているはずですが,本当の意味で患者の理解は得られているでしょうか。よくわからないうちに「とりあえず同意」をさせていないでしょうか。この問題の解決の糸口を見出すために,現場の麻酔科医だけでなく,病院の医療安全管理者,患者側弁護士,保険会社など,多領域の方に執筆をお願いしました。この特集が患者にとって,本当の意味で納得のいく麻酔科診療につながることを願ってやみません。
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