徹底分析シリーズ ビデオ喉頭鏡:現代の気道管理における立ち位置を探る
巻頭言
石川 晴士
1
1順天堂大学医学部 麻酔科学・ペインクリニック講座
pp.1135
発行日 2016年12月1日
Published Date 2016/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101200722
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- 文献概要
「昔よりも麻酔は良くなったのですか?」
患者さんに尋ねられることがあります。「はい,新しい薬の開発とテクノロジーの進歩に支えられて,麻酔は格段に進歩しました」と私は答えることにしています。実際,麻酔関連薬物の一部は,作用発現や消失が早く,特異性が高く,安全性が高い新しい薬物に取って替わられました。モニター類は低侵襲,高精度,低コストなどを追求して,今もなお進歩し続けています。そして気道管理の進歩の一つとして,ビデオ喉頭鏡の開発が挙げられます。おびただしい種類のビデオ喉頭鏡が次から次へと出現し,直接視型喉頭鏡を完全に駆逐したわけではないにせよ,今や気道管理になくてはならない道具になろうとしているように感じられます。
今回の徹底分析シリーズでは,現代の気道管理におけるビデオ喉頭鏡の位置づけを明らかにするために,ビデオ喉頭鏡の種類と特徴を概観してから,直接視型喉頭鏡との比較,ビデオ喉頭鏡の限界,教育における役割,医療安全との関連などについて取り上げました。そしてさらに,直接視型喉頭鏡との比較に関して読者の意見をうかがうことで,ビデオ喉頭鏡の立ち位置を探る手掛かりとしたいと考えています。テクノロジーの進歩はとどまることを知らず,1年後には状況は一変しているかもしれません。本企画が麻酔科医の気道管理の向上に役立つことはもちろんのこと,将来的に2016年末時点の気道管理に対する考え方を示す歴史的資料として耐えうるものになることを願っています。
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