症例検討 硬膜外ができないときの術後鎮痛法
食道癌—単回投与の末梢神経ブロックを中心としたmultimodal analgesia
北山 眞任
1
Masatou KITAYAMA
1
1弘前大学医学部附属病院 麻酔科
pp.52-56
発行日 2016年1月1日
Published Date 2016/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101200478
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症例
62歳の男性。頸部表在性食道悪性腫瘍に対して胸腔鏡下食道再建術が予定された。10年以上前から高血圧と糖尿病を指摘されている。2年前に脳梗塞を発症し,その際に心房細動を発見され,ワルファリンを開始した。現在は上下肢に軽度の感覚障害を認めるが麻痺はない。2か月前に心窩部痛を主訴に近医を受診し,胃内視鏡検査で門歯から約40cmに食道狭窄が確認された。手術適応と判断されて化学療法施行後に当院へ転院となった。当院へ転院予定の2週間前に一過性の意識消失発作を生じた。食道通過障害によるワルファリン内服困難と脱水が原因と考え,ヘパリンの持続投与(15000単位/日)と静脈栄養(TPN)管理を開始した。当院転院時は身長168cm,体重54kgで,2か月に8kgの体重減少を認めた。
術前検査で,軽度の貧血(Hb 10.2g/dL,Ht 31%),腎機能障害(BUN 31,Cre 1.33,血清カリウム4.9)および活性化部分トロンボプラスチン時間(APTT)の延長(38秒)を認めている。心臓超音波では軽度の三尖弁逆流と中等度の僧帽弁逆流を認めたものの左室駆出率66%,心房内血栓は確認されていない。
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