今月の主題 痛みの診断とその対策
最近のトピックス
PCA(Patient-Controlled Analgesia)
小川 節郎
1
1駿河台日本大学病院・麻酔科
pp.2586-2587
発行日 1989年12月10日
Published Date 1989/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402222996
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われわれは頭痛を感じた時など,自分自身で市販の頭痛薬を服用することにより痛みをコントロールしている.すなわち,患者自身により,鎮痛薬の量や服用回数を調節しているのである,一方,入院中の患者では,痛みを有する患者の内,十分に満足のゆく鎮痛を得ている例はそれらの4分の1程度でしかないとの報告もされている.たしかに術後疼痛の場合では,痛みは手術に伴う"しようがないもの",あるいは"一時的なもの"として受けとめられ,十分な治療の対象として考慮されない.また癌の痛みのように激しく,かつ四六時中,長期間続く痛みに関しても,医療者側が行う鎮痛薬投与の制限により,患者の満足のゆく鎮痛が得られていないことも稀ではなく存在する.すなわち,入院中の患者の疼痛に対する鎮痛法は,痛くない者,すなわち医療者側の手に委ねられているのであり,図1に示したように,患者の鎮痛の要求は長い道程を経てやっと手に入るのである1).
これらの長い道程を経ることなく,患者自身の判断と,ボタンを押すといった簡単な機械の操作により,患者の鎮痛の要求にあわせて鎮痛薬が投与されるような鎮痛法をPCA,Patient-Controlled Analgesia法2)と呼ぶ.次に,本法の実際につき述べる.
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