症例検討 よくあるトラブルを乗り越えよう 4
スガマデクスを投与して抜管したが術後出血のために再挿管!—筋弛緩モニターは必須!残存するスガマデクスの影響を考える
笹川 智貴
1
Tomoki SASAKAWA
1
1旭川医科大学 麻酔・蘇生学講座
pp.491-493
発行日 2015年5月1日
Published Date 2015/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101200245
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症例
63歳の女性。身長150cm,体重90kg。甲状腺腫瘍のため,甲状腺左葉切除術が予定された。糖尿病を有し,糖尿病性腎症のため透析療法が導入されている。腫瘍のサイズは小さく,気管偏位はなかった。
プロポフォール1.5mg/kg,ロクロニウム0.6mg/kg,レミフェンタニル0.5mg/kg/minで麻酔導入後,マスク換気がやや困難であったため,経口エアウェイを使用した。筋弛緩が得られた後,喉頭展開を行ったところ,Cormach-Lehane分類II,挿管は容易であった。術中の麻酔維持はセボフルラン1〜1.5%,レミフェンタニル0.1〜0.5mg/kg/minで維持し,ロクロニウムの追加投与は行わなかった。手術はおよそ2時間で問題なく終了した。筋弛緩モニターは手元になかったが,気管内を吸引したところ,大きな咳き込みと強い体動があった。従命反応もみられ,舌圧子を強く咬むことが可能であった。臨床的な筋弛緩からの回復徴候があると判断し,スガマデクスを1バイアル(200mg)投与した後,抜管した。抜管後の呼吸状態に問題はなく,病棟に帰室した。
しかし,帰室して間もなく,出血による頸部腫脹が顕著となり,耳鼻科医から再手術が依頼された。
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