症例検討 よくあるトラブルを乗り越えよう 4
抜管後に酸素マスクを用いていたがSpO2が低め—原因診断,治療
上嶋 浩順
1
Hironobu UESHIMA
1
1昭和大学病院 麻酔科
pp.494-496
発行日 2015年5月1日
Published Date 2015/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101200246
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症例
65歳の男性。身長165cm,体重80kg。S状結腸腫瘍に対して腹腔鏡補助下S状結腸切除術が予定された。既往歴に高血圧と糖尿病がある。血液検査で軽度肝機能障害が指摘された。40年間の喫煙歴があった。麻酔は全身麻酔が予定された。
入室後に,バイタルサインを確認したところ,血圧130/70mmHg,脈拍75bpm,末梢動脈血酸素飽和度(SpO2)98%であった。麻酔導入は,プロポフォール140mgとフェンタニル100μg,ロクロニウム50mgの静脈内投与で行った。気管挿管に問題はなく,術中はデスフルランとレミフェンタニル,ロクロニウムで維持した。術中,予想外の出血が起こり,開腹手術に移行した。開腹後,フェンタニルを適時静脈内投与した。手術終了時に,術後鎮痛目的でフェンタニル25μg/hrの持続静脈内投与を開始し,さらに0.375%レボブピバカイン40mLで腹横筋膜面ブロックも施行した。開腹手術移行後は,大きな問題はなく手術が終了した。
胸腹部X線写真を確認した後,麻酔薬を終了した。10分後,麻酔からの覚醒を確認し,抜管。酸素マスク6L/minを投与した。
抜管5分後にSpO2が94%まで低下したため,手術室で経過観察した。10分が経ってもSpO2は低下も上昇もせず94%のままであった。手術時間は5時間30分,出血量は850mLであった。
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