徹底分析シリーズ スガマデクス(基礎編)
革命的で画期的なスガマデクスの作用機序
小竹 良文
1
Yoshifumi KOTAKE
1
1東邦大学医学部 麻酔科学第一講座
pp.230-235
発行日 2010年3月1日
Published Date 2010/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101100882
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ベクロニウム,ロクロニウムの開発によって迅速な筋弛緩薬作用発現が可能となったが,作用持続時間の点では画期的な進歩はみられなかった。したがって,的確に筋弛緩効果を拮抗する手段が必要であるが,これまで広く用いられてきた抗コリンエステラーゼ薬とムスカリン受容体遮断薬の組み合わせは,深い筋弛緩状態での拮抗作用が不十分であるという大きな問題点を有している。この問題点を解決するために開発された薬物がスガマデクスであり,「筋弛緩回復剤」と呼ばれる。
スガマデクスは環状デキストリンと呼ばれる構造の分子であり,8個のグルコース分子が環状に結合している。スガマデクスはロクロニウムおよびベクロニウムと強固な複合体を形成し(この過程を包接と呼ぶ),神経筋接合部からロクロニウムおよびベクロニウムをすみやかに除去する。この機序によって深い筋弛緩状態からでもすみやかな回復が可能となり,さらに安全かつ効率的な周術期管理が可能になると期待されている。
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