症例検討 よくあるトラブルを乗り越えよう 4
人工心肺終了後にプロタミンを静注したら血圧が急激に低下して肺動脈圧が上がった—プロタミンはゆっくり投与せよ!
秋山 浩一
1
,
加藤 秀哉
1
,
佐和 貞治
1
Koichi AKIYAMA
1
,
Hideya KATO
1
,
Teiji SAWA
1
1京都府立医科大学 麻酔科学教室
pp.488-490
発行日 2015年5月1日
Published Date 2015/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101200244
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症例
55歳の男性。身長173cm,体重68kg。最近息切れがするとのことで近医内科を受診し,経胸壁心臓超音波(TTE)にて後尖P2のprolapseによる僧帽弁閉鎖不全(MR)の診断で,当院へ紹介された。僧帽弁形成術が予定された。術前の冠動脈造影にて有意狭窄は認められなかった。麻酔科医Kは,右橈骨動脈に局所麻酔下で動脈ラインを先に留置し,全身麻酔の導入を行った。レミフェンタニル,プロポフォール,ロクロニウムで導入し,エフェドリンで適宜血圧を調節した。
三角切除を行い,人工弁輪にて形成後,上行大動脈がデクランプされた。経食道心臓超音波(TEE)にて残存逆流はtraceであった。人工心肺離脱後,プロタミンをゆっくり投与していたが,心臓外科医Yから「こらー,早く入れろ」の怒号が飛び,麻酔科医Kはプロタミンを全開にした。すると血圧が120/68mmHgから65/40mmHgに低下し,肺動脈圧は35/18mmHgから45/25mmHgへと上昇した。
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