症例検討 困難な呼吸器手術を克服しよう
縦隔腫瘍―最大の難関は麻酔導入時 綿密な麻酔計画のもと,step-by-stepで気管挿管まで
花崎 元彦
1
HANAZAKI,Motohiko
1
1川崎医科大学 麻酔・集中治療医学3教室
pp.682-686
発行日 2014年7月1日
Published Date 2014/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101102173
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症例 65歳の女性。身長150cm,体重30kg。後縦隔の神経鞘腫に対して腫瘍摘出術が予定された。腫瘍の大きさは80mm×75mm×50mmである。腫瘍は気管から気管支背面にかけて存在し,肺動脈が圧排,偏位しているものの,気管・気管支や肺動脈への浸潤はないと考えられた。患者には呼吸困難の自覚はないが,CT上,気管の最狭部の短径は7mm程度,気管支の最狭部の短径は右が4mm,左が3mm程度である。腫瘍による肺動脈の圧排は左で強く,肺血流シンチグラフィの結果,肺血流量は右65%に対し左は35%だった。スパイロメトリーでは%肺活量(%VC)が75%,1秒率が42%と混合型換気障害を示した。動脈血液ガス分析および凝固系検査の結果は正常範囲内だった。術者は左側臥位での手術を第一選択としており,一側肺換気を希望している。
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