徹底分析シリーズ 安全な麻酔のためのモニター指針
なぜ,現場にいないとダメなのか―モニターと五感からの情報の統合
讃岐 美智義
1
Michiyoshi SANUKI
1
1広島大学病院 麻酔科
pp.328-331
発行日 2013年4月1日
Published Date 2013/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101101792
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真夜中の脳外科の緊急手術の麻酔導入が終わり,手術開始後ほっとしていると,突然PHSが鳴りだした。隣の手術室からのコールだ!病棟に帰した帝王切開術後患者の子宮収縮が悪く,異常な低血圧と頻脈になったため,子宮全摘をしたいから来てほしいという。幸い,脳外科患者はバイタルサインが落ち着いているので,脳外科の若手医師にお願いして隣の部屋に行ってみると,大量出血により頻脈,低血圧で,顔面蒼白となり,明らかな貧血を呈している。輸血用血液製剤を取り寄せ,ポンピングをしながら麻酔導入,気管挿管し,循環を立て直して手術が始まった。すると,今度は脳外科から,止血困難となり,出血が多く血圧が下がってきたので輸血をしているうえ,脳が腫れてきたので来てほしいと言われた。肝硬変患者の頭部外傷なので,血小板や凝固因子の補充が必要なうえ,血圧を下げると脳灌流圧が保てなくなる状態は想像に難くない。
いずれの患者の場合も,その場にいれば麻酔科医なら難なく対応できるが,時機を逃せば重篤な状態に移行してしまう病態である。いずれの症例も時間との勝負であり,その場その場での判断が求められる。このような時に,モニターと五感からの情報をどのように使えばよいのだろうか。
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