連載 りれー随筆・346
五感をみがいて母子のケアへ活かす
松尾 佳奈
1
1花みずきレディースクリニック
pp.892-893
発行日 2013年10月25日
Published Date 2013/10/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1665102611
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祖母に憧れて
私の祖母は,長崎県の離島対馬で助産師をしていました。私が小さい頃,昔話として現役時代は幼い父を背中に負ぶって,自宅に出産のお手伝いに行っていたということを聞いたりしていました。物心がつく頃には祖母はすでに退職していましたが,自宅に妊婦さんや褥婦さんが,戌の日の腹帯やおっぱいのケア,逆子運動などを祖母に診てほしいと訪れてきていました。妊婦さんの大きくなったお腹に優しく触れたり,トラウベで聴診している姿を見て(当時はそれがトラウベだとわかりませんでしたが,今思えば),幼いながら,「おばあちゃんの手は,お腹の赤ちゃんが見えるんだ。赤ちゃんと話ができるんだ」などと感じていました。小さな島であるため,3世代で祖母に診てもらいたいと慕ってきてくださる方もいて,地域に根づいた助産師として働いていた姿に憧れを抱いていました。
母も看護師をしていたこともあって,医療の道へ興味をもち始めたのは,私にとってとても自然なことでした。沖縄県の大学に進学し,看護の道へと歩み出しました。
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