徹底分析シリーズ 3.11から学ぶ
コラム:災害時の「こころのケア」にどう向き合うか
大中 俊宏
1
ONAKA, Toshihiro
1
1独立行政法人国立病院機構四国がんセンター 精神腫瘍科
pp.246-249
発行日 2012年3月1日
Published Date 2012/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101101474
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4月の中旬に,筆者は医療支援チームとして東北に向かいました。任務は避難所の巡回診療でした。震災から1か月が経過しており,地元の医療機関も復興しつつあったので,支援活動の縮小もささやかれていた時期です。さまざまな母体から参加しているチーム同士で情報交換をしていて,こんな話を聞きました。
「震災から1か月,避難所は落ち着いて見えた。そんななか,穏やかに並んでいた診察希望者の1人が,突然に立ち上がり話し始めた。家族が家ごと津波に流された時の状況を淡々と,まるで何の感情も感じていないかのように。」
この話を聞いたとき,筆者は急性ストレス障害acute stress disorder(ASD),外傷後ストレス障害posttraumatic stress disorder(PTSD)の診断基準(表1)が頭に浮かびました。
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