特集 透析医療における災害対策
【特集コラム】災害時におけるPD 治療の有用性
中山 昌明
1
1聖路加国際病院腎センター腎臓内科
キーワード:
自然災害
,
腹膜透析
,
危機対策
Keyword:
自然災害
,
腹膜透析
,
危機対策
pp.825-826
発行日 2021年8月10日
Published Date 2021/8/10
DOI https://doi.org/10.19020/CD.0000001807
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地震,津波,台風,火山とさまざまなタイプの大規模災害が多発するなかで,定期的な通院が必要な慢性維持透析患者が被る健康面での二次災害の影響はきわめて大きい.2011年の東日本大震災では多くの血液透析(HD)患者が透析施設を転々とし,さらには遠隔地に大量移送されたことは生々しい記憶として残っている.一方で,腹膜透析(peritoneal dialysis;PD)患者については,その記録は限定的・断片的である.この理由の一つは,PD患者数はHDに比べ圧倒的に少ないことが挙げられる.東日本大震災における被災地域での透析患者は1万2千例,PD患者数はそのなかで3%程度と推定されている.被災中心地である宮城県でのPD患者数は当時50〜60例と国内でも最小であり,その意味でPDのアピール度がHDに比べて圧倒的に小さかった.報道される内容は,もっぱらHD患者たちの大変さばかりが目立った.PD治療の利点についての報道は残念ながらほとんどなかったように思う.しかし,震災当時,被災地で活動していた筆者は,HDとは全く違うPD治療の利点を大変強く実感した一人である.
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