視点
災害後のこころのケア
鈴木 友理子
1
1(独)国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所 成人精神保健研究部災害等支援研究室
pp.340-341
発行日 2012年5月15日
Published Date 2012/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401102418
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こころのケアとは
こころのケアは,一般的な言葉になった.一般化した言葉だからこそ,その定義が気になる.精神科医らの行う「こころのケア」と,ボランティアの支援者が行う「こころのケア」は全く違う.このことを誰もが意識してはいるが,区別することなく,「こころのケア」という言葉が使われている.
同じような混乱は,過去の大型災害でもたびたび起こっている.インドネシアのスマトラ島沖地震の際には,海外から支援者が多数流入して,それぞれが「こころのケア」を行い,混乱が生じた.このような反省に基づき,国際機関や大型国際NGOらは,「こころのケア」を,精神保健医療福祉活動と心理社会的支援の二つの概念に区分した1).精神保健医療福祉活動とは,精神疾患を予防,治療し,リハビリテーションを促進するために行う精神保健専門家らによる専門的介入を指している.災害後の混乱の時期に適切に精神科医療を届けること,災害をきっかけとした精神疾患の発症や再発に対して適切な治療を提供すること,慢性的な精神疾患を持っている人々に対して,生活支援や,避難生活上の様々な調整を行うことなどが活動内容となる.医療や公的なサービスとして支援が提供されるので,これらには,エビデンスに基づいた効果的な介入法や専門技法が求められる.
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