徹底分析シリーズ 症例検討 産科出血は怖くない!(前編)
巻頭言
角倉 弘行
1
1順天堂大学医学部 麻酔科学・ペインクリニック講座
pp.532-533
発行日 2014年6月1日
Published Date 2014/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101102140
- 販売していません
- 文献概要
今月号のタイトルは「産科出血は怖くない!」である。「産科出血は怖い!」として注意を喚起すべきとのお叱りを受けるかもしれないが,産科出血の大半は,発症の初期にその原因を特定して適切に対処すれば,産科危機的出血に至ることを阻止できる。麻酔科医は,産科危機的出血となったらコマンダーとして本領を発揮するのはもちろんであるが,産科出血が産科危機的出血へと進行するのを阻止するうえでも重要な役割を担っている。その役割を果たすためには,産科出血の原因とその対処法について精通していなければならない。
産科出血の原因は,Tone(子宮弛緩など),Tissue(遺残胎盤など),Trauma(会陰裂傷など),Thrombin(凝固異常など)の四つのTに分類される。また産科出血に対する対処法としては,子宮収縮薬投与,抗DIC療法,外科的止血法,IVRなどがある。しかし,産科危機的出血となると,これらの原因が混在するようになり,また治療法の選択もさらに複雑となる。
そこで,通常であれば前半で徹底分析シリーズを後半で症例検討を掲載するところであるが,今回は特別に,産科出血に対する対処法を解説した徹底分析とそれに対応する症例検討を交互に掲載する。学習参考書で一つのテーマについての解説を読んだ後に例題を解くような要領で読み進めていただきたい。そして読了後に読者が「産科出血は怖くない」と思っていただければ幸いである(もちろん,産科危機的出血が怖いことは忘れないでいただきたい)。
Copyright © 2014, "MEDICAL SCIENCES INTERNATIONAL, LTD." All rights reserved.