徹底分析シリーズ 感染症を克服する:基礎編
中心静脈カテーテル関連血流感染の予防と治療:麻酔科医としてできること
讃井 將満
1
,
石岡 春彦
1
Masamitsu SANUI
1
,
Haruhiko ISHIOKA
1
1自治医科大学附属さいたま医療センター 麻酔科・集中治療部
pp.864-870
発行日 2008年9月1日
Published Date 2008/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101100184
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各種の中心静脈カテーテル挿入は,“血管アクセスのプロフェッショナル”として,多くの麻酔科医が“こだわり”を持つ花形手技の一つである。したがって,われわれ麻酔科医は,穿刺テクニックや,動脈穿刺,気胸などの機械的合併症に注目しがちである。しかし,手術患者の予後にかかわる医療チームの一員として,また,院内における中心静脈穿刺の安全管理のリーダーとして,感染性合併症としてのカテーテル関連血流感染catheter-related bloodstream infection(CRBSI)について最低限の知識を持つ必要がある(臨床メモ1)。
静脈カテーテルによる感染性合併症は,日常の臨床で決して珍しいものでなく,ときに致死的になる恐るべき合併症である。機械的合併症の発生率は5~19%,感染性合併症の発生率は5~26%1),ICUにおけるCRBSIの発生率は5.3%と言われ,いったんCRBSIを起こすと死亡率は12~25%増加するという報告2)もある。したがって,その予防と早期治療が重要であることは言を待たない。
本稿では,おもに手術室で働くが,ときにICUや病棟に呼ばれ,中心静脈カテーテル挿入や入れ替えを依頼される一般的麻酔科医を読者に想定した。また,本稿における中心静脈カテーテルは,われわれが最もよく目にし,CRBSIの大半の原因になる短期留置型の非トンネル式カテーテルを主として想定した(表1)。
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