徹底分析シリーズ 感染症を克服する:基礎編
SSI(手術部位感染)の予防2:予防的抗菌薬の使い方
藤谷 茂樹
1
Shigeki FUJITANI
1
1聖マリアンナ医科大学 救急医学教室
pp.858-862
発行日 2008年9月1日
Published Date 2008/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101100180
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
米国では,National Nosocomial Infection Surveillance(NNIS)System,すなわち1970年代に設立され全米で最大規模のICUにおける院内感染のサーベイランスシステムがある。現在では,300近い病院が,このサーベイランスシステムに参加している。一度症例が登録されると1か月間の追跡が行われる。
SSI(surgical site infection:手術部位感染)は一般的な術後合併症であり,約3%の頻度で起こり,緊急腹部手術では20%にまで増加する。NNISによると,「SSIは,在院日数を平均7.4日延長させ,コストを4万~26万円増加させる」。年間では130億~845億円のコストがかかり,直接,間接的に年間1兆円のコストがかかることになる。SSIを減少させることは,手術を受ける患者の安全性を保証するうえでも,外科医や病院として取り組むべき最重要課題である。
Copyright © 2008, "MEDICAL SCIENCES INTERNATIONAL, LTD." All rights reserved.