徹底分析シリーズ 感染症を克服する:基礎編
コラム:クロルヘキシジンによるアナフィラキシー:ARROWGard Blue®はなぜ市場から消えた
岡村 央
1
,
三浦 邦久
2
Nakaba OKAMURA
1
,
Kunihisa MIURA
2
1順江会江東病院 薬局
2順江会江東病院 麻酔科
pp.872-873
発行日 2008年9月1日
Published Date 2008/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101100185
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●知っていますかARROWGard Blue?
ARROWGard Blueという中心静脈カテーテル(CVC)をご存じだろうか。このカテーテルは,クロルヘキシジンとスルファジアジン銀で表面をコーティングした,いわゆる「抗菌カテーテル」と呼ばれるものである。カテーテル関連血流感染(CRBSI)の予防効果がある1,2,4,5,7)とされ,現在米国などでは広く使用されている。予防効果の是非についてはさまざまな報告がされてきたが,最近発表されたメタアナリシスでは,非コーティングカテーテルに比して有意にCRBSI抑制効果があるという報告4)がされている。
ご存じの通り,現在日本ではARROWGard Blueは販売されていない。しかし,未承認というわけでもない。ARROWGard Blueは1995年10月,日本での発売が開始されたが,1997年8月に輸入販売会社の販売自粛という形で市場から姿を消した。それは,その間に12例のクロルヘキシジンによるものと思われるアナフィラキシーショックが報告されたためであった。1997年8月,緊急安全性情報3)が配布され,その結果,ARROW社は日本国内の販売を自粛し,現在に至るのである。
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