症例検討 よくある症例の麻酔
フルストマックといえるかどうかかわからない症例:絶飲食は指示だけでなく,その必要性を理解・納得してもらうことが大事
森本 文子
1
Ayako MORIMOTO
1
1福岡市立こども病院・感染症センター 麻酔科
pp.56-58
発行日 2008年1月1日
Published Date 2008/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101100012
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症例
5歳の男児。午前8時30分入室で包茎手術の予定。手術室に入室するとき,付き添った母親が,男児がベッドの傍らに置いてあったビスケット2枚を食べた可能性のあることを告げた。勤務の都合でどうしても今回手術を要望する一方で,母親はビスケットを食べた可能性があるので心配だという。
この症例にどのように対応する
このような症例では,原則手術中止にはしない。しかし,家族が不安に思っているのにあえて予定通りに麻酔を行うこともしない。家族に,食べていれば,嘔吐・誤嚥の危険性が増す可能性があることを説明し,延期を希望されれば中止にする。そうでなければ予定通りに手術を行うことが多い。
一般に,手術の内容,緊急度,麻酔方法,麻酔科医によって,予定どおり行うか,または時間をずらして行う,いったん中止にして日を改めるなどの対応がなされる。ただし,指示が守れなかったから中止ということはないが,指示は遵守されるべきものであることは明確にしておく。
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