徹底分析シリーズ 周術期における栄養管理
麻酔前の絶飲食―「何も飲まないように!」から「炭水化物含有飲料を飲んで!」へ
高橋 伸二
1
TAKAHASHI, Shinji
1
1筑波大学大学院人間総合科学研究科 麻酔蘇生学
pp.554-558
発行日 2011年6月1日
Published Date 2011/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101101256
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術後の患者回復能力を強化する目的で発表された,enhanced recovery after surgery(ERAS)プロトコール1)を知らない麻酔科医はいない時代になってきた。
ERASは外科医,麻酔科医ばかりではなく,周術期の患者管理にかかわるすべての医療従事者が,患者をより早く改善させるために何をすべきかを示している。図1の中には「絶食の見直し」をはじめ,麻酔科医が術前からできることがある。さらに,欧州静脈経腸栄養学会European Society for Clinical Nutrition and Metabolism(ESPEN)が2009年に示したガイドライン2)では,術前の絶飲食はほとんどの場合,不必要であることが推奨度Aとされている。
本稿では,これらのプロトコールを踏まえ,最近の術前輸液,経口補液,経口摂取禁止期間について述べる。
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