投稿論文 短報
ロクロニウムによる筋弛緩効果の発現遅延を認めた乳児症例の麻酔経験
茅島 顕治
1
,
水山 有紀
,
王子 維蘭
,
毛利 祥子
1地域医療機能推進機構九州病院 麻酔科
キーワード:
吸入麻酔
,
筋弛緩
,
Rocuronium
,
Sevoflurane
,
Sugammadex
,
尿膜管遺残
,
四連反応比
Keyword:
Anesthesia, Inhalation
,
Muscle Relaxation
,
Sugammadex
,
Rocuronium
,
Sevoflurane
,
Neuromuscular Monitoring
pp.1104-1106
発行日 2020年10月10日
Published Date 2020/10/10
DOI https://doi.org/10.18916/J01397.2021033174
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2ヵ月女児。尿膜管遺残摘出術を予定し、セボフルラン5%で全身麻酔を緩徐導入した。左手背静脈に24G末梢静脈ラインを確保し、セボフルランの呼気濃度を約2%に下げた。入眠後に小児用メカノセンサーを右手指に装着し、尺骨神経刺激による長母指伸筋収縮で自動キャリブレーション後、筋弛緩モニタリングを開始した。ロクロニウム(以下RO)投与前の四連反応比(TOF比)は1.0であった。RO 2mg初回投与9分後のTOF比も1.0であり、2mg追加投与2分後以降も1.0から下がらなかった。右足背静脈に24G末梢静脈ラインを追加で確保し、追加ラインからRO 2mgを2回投与したが、TOF比は1.0のままであった。セボフルランの呼気濃度を約5%にし、筋弛緩効果なしで気管挿管を試み、成功した。RO最終投与から120分後にTOF比は0.85となり、134分後に0.44となった。RO作用発現遅延の原因は明らかではないが、神経筋接合部でのRO濃度不足や受容体の未発達、受容体の分布不足などの可能性が考えられた。
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