特集 病気の分子細胞生物学
1.筋・神経・精神疾患
こむら返り病
木下 真男
1
Masao Kinoshita
1
1東邦大学
pp.359-360
発行日 1999年10月15日
Published Date 1999/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425901723
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[疾患概略]
こむら返りとは,本来,腓腹筋部に起きる筋けいれんを指すが,この疾患では全身の骨格筋に同じような症状が出現する。そのため,全身こむら返り病とも呼ばれ,患者の状態をよく表してはいるが,日本語としては正しくない。原著者の名から里吉病とも呼ばれ,これまでの症例をまとめた里吉の論文では,主要症状を並べて筋けいれん・脱毛・下痢症候群とされている1)。筋けいれん,いわゆる「筋がつる」という状態が四肢,躯幹の筋肉に断続して出現する疾患で,疼痛がかなり激しく,睡眠も障害されるほどになる。最初の報告は,1967年里吉らによって,中枢神経原性反復性筋けいれんとして発表された2)。このけいれんは有痛性で,不定の四肢,躯幹筋に出現し,数分間続いておさまるが,同じ筋に反復して現れる傾向があり,一旦こうなると30分から1週間ほど連続して反復を繰り返すと記述されている。ほかに前述の脱毛,下痢も主症状で,その他骨の変形,短躯がみられることもあり,当初は全身性の代謝性疾患で,予後不良という印象が強かったが,最近では自己免疫的な機序が考えられ,治療で症状が軽快するようになった。
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